戦略はなぜ似かよるのか(2)「戦略の視野」

今の時代は、異業種をも取り込んだ競合・競争の「戦略の視野」が必要なのである。 そして、戦略の落とし穴に陥らない為には、こうした異業種間も当然ながらグローバル競争がその視野と視点が存在していなければならない。
「戦略の落とし穴」に入り込んでしまう、あるいは「同質的な戦略」から飛び出せない、また努力して新たな戦略を明らかにとしても、結果的に「現状延長型の戦略」になってしまう。この多くのは戦略創造・策定のプロセスのあり方に基因している。
一般的に、つい最近までは競争戦略と言えば、先ずはポーターの競争戦略を理解し、提唱された競争戦略フレームワークをいかに駆使し、そこから新たな競争優位性を見出していくかであった。これに熱中した時期もあった。今でもまだその傾向が残っている。
度々、提唱されるどの戦略アプローチも必ず時代的背景が存在している。ゆえに、絶えず「戦略の本質」を理解して、それらの戦略アプローチを活用し取り組んでいく事が大切なことであるといえる。
当時、代表的であったポーターの競争戦略は、競争優位、バリューチェーン、ファイブフォース、差別化、トレードオフ、適合性など競争戦略を明らかにするためのフレームワークやアプローチを提供してくれた。 戦略研究の分野においてこの貢献は、これまでは非常に大きいものであった。
このポーターの競争戦略アプローチは、基本的には構造分析を中心として、そのフレームワークに基づき情報分析をしていく戦略プロセスであった。しかし、その方法は、決められた 戦略フレームワークに基づき、一定のルールに基づき情報を加工し、戦略を導き出そうとするインフォメーション・プロセスに留まっている。
そして、これらは業界構造分析を基本としてるため、既存企業の多くは現在の業界構造から戦略的に飛び出すような新たな創造的な戦略を見出すことは期待できない。 結果的に見出される戦略は「戦略マイオピア」に陥ってしまう。
これは、「分析の麻痺」といわれる現象のもので、こうした戦略アプローチに基づき膨大な時間と費用を投入しても、互いに同質的な戦略しか見出せないのである。
結局、既存の業界の属している企業群はどの企業も、競合・競争相手も同質的な戦略の競争でしかないのである。

戦略リーダーシップ(12):2つの組織能力の適合

戦略リーダーシップは、戦略創造プロセスと戦略実行プロセスの統合的な適応関係を創り出すことであった。これは戦略と組織の適応関係性において、戦略の創造あるいは策定とその戦略の実行についてである。つまり、これの視点は先に引用したチャンドラー説の「組織は戦略に従う」に即応することになる。
そして、もう一方に引用したアンゾフ説が問いかけるのは、一体、だれが環境に適応する戦略を創造・策定するのかという点である。これは戦略実行能力としての組織能力ではなく、戦略創造能力としての組織能力に他ならないのである。
そうすると、戦略実行においても戦略創造においても現有の組織能力が問われて来ることになる。これが戦略リーダーシップの本質的な視点である。
この両者の能力がリーダーシップに求められ、同時のリーダーシップの発揮においても求められる。自社に求められる戦略リーダーシップ能力は異なってくる。それは、取り巻く外部環境条件が異なり、現有の組織能力が異なるからである。
戦略リーダーシップは環境と戦略と組織の「一連の統合された適応関係」を創り出すことである。そして、求められる戦略リーダーシップ能力はそれら二つの現実の中に存在することになる。
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