4-11, 不測事象対応計画

乱気流環境下の戦略計画策定では、事前に複数の計画を持ちあわせておく必要があります。事後対応では、変化に適応できません。これは図表1・4の「経営に対する影響 新たなゲームのルール」の最終項のとおりです。

通常、環境シナリオは3パターン、基本計画と合わせ計4つを準備することが望ましいのですが、乱気流環境下では、「不測事象対応計画(contingency planning)」を策定してこれに代えます。なぜなら図表1・4の「過去の強みは、現在のそして将来の弱みになる」、こうした事態が頻発するからです。

不測事象対応計画の作成では、アキレス健分析(vulnerability analysis)という手法を用います。これは大きく分けて2つのアプローチから検討されます。一つ目は、強みが弱みに変わる原因となる乱気流を基本計画作成時の環境予測に当てはめ、あらゆる可能性から想像的に考慮していきます。さらに重要なのは、ターニン グ・ポイントである変化事象が、何を引き金に引き起こされるかを予測することです。このターニング・ポイントないしトリガー・ポイントが戦略的な「環境モニターニング」を意味します。

次に、もう一つの重要なアプローチとして、致命的な環境変化を取り扱います。これは、「自社の現在弱みが致命的になる」事態を意味します。潜在的要因が、 何らかのきっかけで突如顕在化し、自社に多大な影響を及ぼすと言ってもいいでしょう。この場合にも同様に環境モニターニングが求められます。

企業が抱える危機的状況を認識し、事前に不測事象対応計画をもって企業経営にあたることが、リスク・マネジメントであり、不測事象計画の発動をもってクライシス・マネジメントと評することもできます。

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