7-3, 戦略的発想からのインテリジェンス・リテラシー

戦略リテラシーとインテリジェンスリテラシーでは、戦略マインド、つまり戦略的な発想・態度・姿勢を不断に創り込んでいくことが肝要です。図表7・3に示すとおり、上から4つの要素は意識して避けなければなりません。これから特に意識すべきものは、下にある4つの発想です。

捨て去るべき4項のうち、3項目までは容易に理解できるでしょう。4つ目の特殊意識とは、例えば「我々の業界では」など、思い込みで他者を区別し、身勝手 な線引きを行うことです。こうした傾向は法律で規制されている業界や、逆に保護されている業種・業界にしばしば見受けられます。これらの4つに縛られる と、新たな発想や戦略思考は生まれてきません。

ここで改めて求められる発想は、次に続く4つの要素、目的思考からの4つの発想と思考性です。目的思考は目的と手段の関係性です。これは理解しているつも りでも、往々にして手段が目的化されるといったことが起こりえます。ですから、絶えず目的を振り返り、志向性を確認することが肝心です。さらに必要なこと は、こうした議論を通じ、新たな発想や考え、気づき、発見を深め、探求心を維持することです。

時として現状否定から始めなければなりませんが、強い意志で臨まない限り、前記4項の誘惑に引きずられてしまいます。残念ながら現状肯定からは変革は生ま れません。変革や革新、そして新たな戦略は、むしろ危機感から生まれてくるものです。外部からの突発事象に振り回されないためにも、自ら先んじて変革を起 こすことが望まれます。戦略は自己変革を促す起爆剤に他なりません。

もう一つ創造的プロセスとしては、巨視的な普遍化と、絞り込みによる具象化を繰り返すプロセスです。発想を意識的に切り替える効果は大きいものです。再三視点の問題を扱ってきましたが、これも大切なインテリジェンスといえるでしょう。

さらにこれらを上手く進めていくには、3つ目に示す、絶えず全体思考を持っていることが重要です。戦略思考は重点思考であると説明されますが、それは前 もって全体が見えていることが前提で、全体を通じてこそ重点が浮かび上がってきます。全体抜きに重点は定めようがないのであって、芯のない重点は単なる部 分最適に過ぎません。

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