戦略リーダーシップ(12):2つの組織能力の適合

戦略リーダーシップは、戦略創造プロセスと戦略実行プロセスの統合的な適応関係を創り出すことであった。これは戦略と組織の適応関係性において、戦略の創造あるいは策定とその戦略の実行についてである。つまり、これの視点は先に引用したチャンドラー説の「組織は戦略に従う」に即応することになる。
そして、もう一方に引用したアンゾフ説が問いかけるのは、一体、だれが環境に適応する戦略を創造・策定するのかという点である。これは戦略実行能力としての組織能力ではなく、戦略創造能力としての組織能力に他ならないのである。
そうすると、戦略実行においても戦略創造においても現有の組織能力が問われて来ることになる。これが戦略リーダーシップの本質的な視点である。
この両者の能力がリーダーシップに求められ、同時のリーダーシップの発揮においても求められる。自社に求められる戦略リーダーシップ能力は異なってくる。それは、取り巻く外部環境条件が異なり、現有の組織能力が異なるからである。
戦略リーダーシップは環境と戦略と組織の「一連の統合された適応関係」を創り出すことである。そして、求められる戦略リーダーシップ能力はそれら二つの現実の中に存在することになる。
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戦略リーダーシップ(11):戦略創造と組織能力

企業は環境適応能力が求められ、それは戦略創造プロセスにある。そして、企業は同時に組織適応能力が求められ、これは戦略実行プロセスにある。
戦略リーダーシップは、戦略創造プロセスと戦略実行プロセスのにおいて統合的な適応関係を創り出すことである。これは、戦略と組織の適応関係性である。
この戦略と組織の関係性を企業経営において最初に指摘したのは、アルフレッド・チャンドラーである。チャンドラーは
1962年に「Strategy and Structure(戦略と組織)」を出版し、この中で「組織は戦略に従う」ことを指摘した。これは組織構造のあり方としてではあるが、その論点は企業の組織能力にあることを示している。
一方、H.I.アンゾフは1979年に「Strategic Management」を発表し、先のチャンドラー説に呼応するかのように、「戦略は組織に従う」として、戦略的に企業を経営するにはより統合的なアプローチが重要だと説いた。
さて、戦略リーダーシップのあり方において重要となってくるのは、アンゾフの指摘する「戦略は組織に従う」という視点である。

戦略リーダーシップ(10):戦略と組織適合関係

戦略リーダーシップにおいて求められるのは、この戦略と組織を適合させていくことである。これは戦略リーダーシップにおける組織プロセスを意味している。この組織プロセスを通じて、組織を戦略に適合させていくことである。そして、同時に組織プロセスは戦略実行プロセスでもある。
戦略リーダーシップ・プロセスにおいて、戦略プロセスと組織プロセスの2つをを示し、その意味は戦略創造プロセスと戦略実行プロセスである。
従前のリーダーシップ論において共通する定義は、リーダーシップは影響力であるとしている。この点から仮に理解すれば、リーダーシップは組織プロセスでの戦略実行においての影響力の行使としてみることができる。これは、戦略リーダーシップにおいての戦略実行プロセスを示しているだけである。
求められる戦略リーダーシップ能力は、戦略創造プロセスとして自らが戦略を創造し策定していくリーダーシップ・プロセスと、戦略実行プロセスにおいて自らが策定した戦略を戦略実行していくリーダーシップ・プロセスに求められる。
戦略リーダーシップは、環境と戦略と組織の一連の適応関係を創り出すことである。そして、求められる能力はそれらを現実の中で実現していくリーダーシップ能力であるといえる。