スコープ

フィールドを読み替える
かつてはモノを手に入れること自体で達成感があったが、現在はモノに振り回されるのはかっこよくないという認識に変わってきた。つまり、いつまでもモノを追いかけるビジネスモデルでは通用しないということだ。ではモノの先に何があるのか。生活という時間を満たすもの、その感覚が問われている。意味が変わってしまっては、元の枠組みにしがみつくことは無益だ。ずらすといってもいい。真正面から勝負するだけがすべてではない。適当に軸をずらすことで、新たな視野が開けてくる。

指標とは便利なものである一方、下手に数値に囚われると、目指す道筋を踏み外すことになりかねない。価格とは大量生産ありき、モノで満たすことありきの時代の残滓にすぎない。多様性が叫ばれている割に、ものごとには絶対的な基準があるかのようにいまだ錯覚しているのはなぜか。必要だから数値を押さえるのではなく、得られる数値があるからそれに必死に意味づけするような錯誤が見られるのではないか。情報もそうだが、得やすいものには得やすいなりの価値しかない。数字に振り回される前に、それが追うべきものかどうか今一度検証してみる必要があるだろう。

複眼、ダブルスタンダード
たとえば経済性と社会性のどちらが優先するかというのは、卵が先か鶏が先かの議論にも通じる。いずれもが組織の存立に欠かせない以上、その優先順位にこだわるというよりも、両立に向けたバランスある目配りができるかどうかが期待される。その意味では、暫定的に入り口はフィットしやすいほうで構わないだろう。むしろ問われるのは展開の中でもう一つの領域を十分に組み込めるかどうかだ。