リバース

ネガティブの効用
中途半端な陳腐化はもっとも御しがたい。しかし、決定的に陳腐化したもの、いわゆる時代遅れといわれる領域には焼き直しのチャンスがある。なぜなら使える生き筋はすでに徹底的にそぎ落とされて一点に集約されている。逆にそれ以外はすべて捨て去っても構わないという、見通しの良い状況にあるからだ。つまり、いわゆる延命にすら道が残されていなければ、必死で活路を求めずにはいられない。9割がた否定されつくしていれば、新しい取り組みに何ら障害もない。いわゆる業態、業界にすらこだわる必要がないのだ。

自らものごとの本質を見抜くことは、情報過多な時代にあって、なかなか難しい。しかし、環境が否応なく本質以外を洗い流してくれると思えば、これはチャンスだ。結局は諸々のしがらみから、「捨てる」という行為が一番難しい。それを考えると、状況に差し迫られてとはいえ、強制的にでも捨てざるを得ないという状況は、自動的に新たなものへの「余地」を生み出してくれる。そう考えれば逆境もそうそう悪くはない。