FromTo:経営戦略から戦略経営へ

日本において「戦略経営」(Strategic Management)という経営用語が一般に実務家の間において知る契機になったのは、H.Iアンゾフ著の「戦略経営論」(1980年)が翻訳出版されてからと言えます。それから既に四半期世紀以上が経とうとしています。

それまでは、戦略に対する理解とその重要性においては、せいぜい経営戦略や事業戦略の範囲に留まっていました。その後、今日まで「戦略経営」の表現は機会あるごとに、経営図書のタイトルをはじめとして表現され、少しは知る機会が増えてきました。

しかしながら、「戦略経営」たる本質の理解は遠く、かえって誤解され同時に内容的にも理解するのに苦慮する状況にあります。今日、戦略ブームの渦中にあると言えます。戦略分析ツールや要約書が数限りなく同様な内容で繰り返し出版され販売されています。時には、経営戦略や戦略経営に関係のないものまでもが出現しています。

この様な状況のなかで、もう一度、経営戦略と戦略経営についてその本質的なところから理解を深めていくことは、今後において大切なことと考えます。これから、少しこうした点に立って整理しながら、本質的な確認を深めてみたと思います。これは混迷している中において有意義であり、それは大変重要であると考えます。

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