経営戦略の定義

経営戦略についての説明やその定義においては、今日において論者の数だけあるといっても過言ではありません。
その中にあって経営計画、経営戦略の研究分野で、今までの代表的な定義を上げてみると次のようになります。

H.Wヘンリー「経営戦略とは事前に設定した企業の目的、目標を達成することが期待される広範囲にわたる行動計画である」
K.R.アンドリュース「戦略とは目的(objectives)、意図(purposes)または目標(goals)のパターンであり、そして会社がいかなる事業をしているか、またはすべきであるか、およびどんな種類の会社であるか、またはあるべきか、を定義するようなしかたで前述の目標をのべた場合の、これら目標を達成するための主たる方針および計画である。完全に戦略というものを述べるには、製品の品目、製品の意図する販売市場および市場区分、これら市場に到達する経路、事業資金の調達方法、利益目標および達成の媒体たる組織の規模と種類とを定義するものである」
ラック&プレル「経営戦略とは企業の競争環境のなかで、その機会や有利性を最大限に利用して、競争企業を凌駕するために企業資源を配分する計画体系である」
J.Tキャノン「経営戦略とは企業の目的を達成するために競争上要請される方向づけの行為の決定である」

H.Iアンゾフは企業の意思決定を、戦略的意思決定、管理的意思決定、業務的意思決定の3つに分け、「戦略的意思決定とは企業の外部環境の変化に企業全体を適応させるための意思決定である」としています。

これら共通していることは、戦略は企業の目標を達成するための具体的な計画概念であるということであり、同時に企業が外部環境に適応していくための計画概念であるということが読みとることができます。

この様に眺めていくと、戦略の本質は「企業が外部環境の変化に全体的に効果的に適応して経営構造を革新、創造する」といえます。
そして、この経営構造を革新、創造するための経営計画を「戦略計画」として位置づけすることができます。

今、企業は明確な戦略計画をもって、乱気流環境に適応していかなければなりません。

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